その他セミナーレポート

子どもたちの非認知能力を育む 「ルクミーみらい教室」の導入がもたらした効果とは?

2024年01月05日

「子どもたちの非認知能力を伸ばしてあげたい」と思った時、どんな方法が思い浮かびますか?

今回は、非認知能力を育む保育を叶えるために、ルクミーが新しく提案する探究型学習プログラム「ルクミーみらい教室」の導入を行ったマザープラネットの藪本さんより、そのプロセスと効果についてお話してくださったセミナーを元に事例をご紹介いただきます。

【?】ルクミーみらい教室とは?
「ルクミーみらい教室」は、園・施設内での体験支援サービス です。無料相談、無料体験を受付中!
https://lookmee.jp/mirai_class/


<藪本  敦弘さんプロフィール>
株式会社マザープラネット 代表取締役
1977年6月19日生 46歳(福岡県北九州市生まれ)
千葉県流山市在住、妻と二人の娘の父

地元で仕事を行いたいと感じるきっかけになった東日本大震災以降、子どもを預ける保護者として過ごした経験を活かし、自身が立ち上げた保育事業を千葉県の柏市で複数展開中。

導入のきっかけは、「らしさ」を模索中の悩みから……

(藪本さん)今回のルクミーみらい教室を導入したきっかけとしては、子ども主体の保育を中心に「私たちの園らしさ」を模索している中で、非認知能力を育む保育の”体系化や可視化”に課題感があったからでした。

コーナー保育による「遊びの選択」と、
ランチルームでの「生活面の選択」

園と保護者とのギャップとは‥?

みらい教室を導入する前の話になりますが、保護者へ「子ども主体の保育の中で、非認知能力を育んでいきたい」とご説明すると、様々な反応がありました。

例えば、一番多かったのが、「子どもたちは遊びを通して学んで、非認知能力を育むんですよ」とご説明しても、「遊んでばっかりだと、勉強が嫌いになって小学校入ったら困るじゃないですか?」とか「わがままになるのでは?」など、こういったところに、保護者の不安と、我々がその大事にしていきたいと思っている「非認知能力」について理解度のギャップがあるなと感じていました。

なので非認知能力について「こういう仕組みで、こういうところを育てていく、さらに、育っていくと、こうなっていくんですよ」という部分を、何とか体系化や可視化して、ちゃんと見せていかなきゃいけないと考えていました。

ですが、なかなか解決策が見当たらず、苦悩した2-3年を過ごしていました。

新たな取り組み「ルクミーみらい教室」

園児集客等の運営は、おかげさまで非常に順調なのですが、ただ相変わらず「私たちの園らしさ」や「非認知能力を育む学びの体系化・可視化」という悩みが残ったままといった時に、ユニファの土岐社長からルクミーみらい教室をご紹介いただきました。すぐに「これいいね」と思い「まずちょっとトライアルでやってみようという」ことで、流山市の認可保育所「オハナゆめ保育園」で無料体験を実施いたしました。

まず5歳児クラスから始めてみようということになりました。

今回の主役、5歳児クラスの子どもたち

現在、ルクミーみらい教室の本間コーチからは、非常に高い評価を受けているクラスになって大変ありがたいのですが、元々元気な子たちが多く、ちょっとこういうところは気になるよねってところがあったものですから、今回のルクミーみらい教室を通して、少し学びを深めてもらいたいなと思って選定しました。

ただ、今回導入する時に、ちょっと仕組みとして気をつけなきゃいけないなと思ったところが3つありました。

1つ目は、”カリキュラム”としての子どもたち押し付けになってしまわないか?

我々は「子ども主体」で活動していくことを目指してやっているのであれば、「こうしなさい、ああしなさい」といったものは、方向として合わないので、押し付けにならないか?が気になりました。

2つ目に、子どもたちが、「自分たちで、課題に気づくこと」ができるのか?

先生たちが「これは課題だ」と思っていたとしても、その課題を先生が「課題だからこれ学ぼう」というではなくて、子どもたちの興味関心があるものや、遊びを通してその課題に気づく必要があるかなというふうに感じていたので、この辺の設定の仕方ですね。

3つ目は、イベント的になってしまうと意味がないのでは?

やはりずっと続けていく中で重層的にというか、重なり重なり続けていくような考え方が必要になってくるので、短期的な課題探究ではなくて、長期的にというか、それがずっと普段の活動の中に息ついでいくようなものが必要かなというふうに考えておりました。

なので、導入するにあたって、基本方針をこのように設定させていただきました。

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基本方針1

サークルタイム等で子どもに説明をし、参加してみたい子のみを対象にする。

→参加したくない子の選択を保障

基本方針2

子どもの興味関心の高いものを活動のテーマ・軸にしつつも、「10の姿」を意識した計画と見直しを行う。

基本方針3

中長期のテーマを設定し、それを細分化することで、日々の生活においても継続できるようなテーマ設定で行う。

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みらい教室を当園の方針にカスタマイズして導入すべく、本間コーチと何回もお話をさせていただき、カリキュラム・プロジェクト作成のお手伝いをしていただいています。

いよいよ始まった「ルクミーみらい教室」

今年の9月からスタートさせていただきました。

その当時の5歳児クラスは、折り紙がものすごいブームでして。ブームなのはいいんですけど、この折り紙の使い方が非常に雑といいますか。

あまり丁寧に使えない、無駄に使ってしまうようなお子さんも散見されていたので、そこをちょっと気づいてほしいなと。

公共性というか、道徳心のところを育てていきたいねっていうところで、なので、ゴールではなく、この目指したい子どもの姿という表現で設定しました。

特に、「課題との出会い」の部分に重点を置きながら、最終的に解決の発表のところまで、本間コーチに伴走いただき、1ヶ月半かけてやらせていただきました。

子どもたちの”気づき”までの道のりは‥

毎週木曜日の10時から11時のみらい教室とう名前で、折り紙を通した活動をスタートしました。

「実は自分たちは、あんまり折り紙を大切にできてなかったよねっていう課題に出会う」というところが、最初は本当に大変でした。

この写真は、まさにその「気づき」のワークの中の一コマです。

自分たちがムダにした折り紙で貼り絵を作る

遊びの延長上で「課題に出会おう」というカリキュラムなのですが、

貼り絵の台紙の白い紙にマスが描いてあって、材料は「この1週間に捨てられていた折り紙を全部溜めたもの」で制作をしていきます。

実は、完成したら「折り紙何枚分」というところが、見えるようになっていて。

子どもたち自身が「自分たちは折り紙を大切に使う気持ちが足りていない」という「課題」に出会えるような学習環境を用意しました。

実際に完成させると、なんだかんだ言って20枚ぐらいになり、さらには、使わない折り紙もできてしまったことが明らかになりました。

すると、本当に子どもたち自身から「あれ?実は結構たくさん無駄にしてたんだね」「これ、どうする」という話が出て来ました。

みるみる変化する子どもたち!

それ以降も毎週、事前に担任が想定する「課題」と遊びを通して出会い、その解決に向けて子どもたち自身で話し合いを続けていきました。

自分たちの気づきを発表する子どもたち

回を重ねる中で、「私はこう思った。あなたはどう思う?」みたいなところを促していくような時間を設けることで、最初は一部の子どもたちに発言が偏っていたのですが、段々「私も話させて!」「私も話す!」と、前に出て自分たちの意見を発表できるような姿も見えてきました。

最初は控えめだった子も、自分の意見を言えるようになってきました。

子どもたちが見つけた”解決策”とは?

途中、折り紙メーカーのクラサワの石井様からのメッセージをいただいたり、様々な関わりがあった中で、最終的には、「リサイクルボックスを自分たちで作る」という一つの解決策を子どもたち自身が導き出しました

子どもたち発案の「リサイクルボックス」
折り紙メーカーさんへプレゼンする様子

このボックスに、「使った折り紙、例えば、家に持って帰らない折り紙とか、ちょっと失敗しちゃった折り紙みたいなここに入れといて、これでリサイクルとかリユースしていこうよ」等、話し合いで決まった結果をまとめ、さらにそれを、折り紙メーカーのクラサワの石井様にプレゼンするところまで実施しました。

このルールは、自分たちで決めたルールなので、今でもちゃんと守っています。

子どもたち自身で声掛けをしたりとか、子どもたちが主体的に行動する姿もよく見られます。

見守っていた大人たちの反応は?

この全体の流れを、メーカーさんにも大変感心していただきまして、「5歳児でこんなにできるんですね」というお声をいただきました。

保護者の方からも同じようなお声もいただいたりとかして、「予想以上に反響がすごかったな」というのが実際やってみた私の感想です。

担任が”不甲斐なさを感じる!?”驚きの効果とは?

実施期間は9月下旬から10月末まで、つい先日までやらせていただいたもので、

今までお話をした子どもたちの姿ももちろんそうなのですが、担任の視点で「変化と評価」を聞いてみました。

5歳児クラス担任の高田裕太先生

5歳児の担任は中堅保育士の高田雄太先生なのですが、サークルタイムや日々の保育の中でずっと「物を大切にしなきゃいけないよ」とか「折り紙ってこんなに使うともったいないよ」と、ことあるごとに伝えていたのですが、伝わっている子と、伝わっていない子の温度差が激しいという部分で、苦労があったそうです。

ですが、今回の活動を通して自分たちで考えて作ったルールが浸透したことで、「なんかあっさり伝わった」と。

この部分に関して、本人曰く「自分の不甲斐なさを感じます」という、なかなか今年のワードオブ・ザ・イヤーを上げようかなと思っているぐらいの感想をいただきまして(笑)、こんな感じで担任の期待を超えるような結果があったというのがまず一つです。

また、当初の課題以外の「10の姿」の観点でも非常に良い影響が見られました。

もちろん、リサイクル・リユースなどの意識の向上といった点は明確に見受けられるのですが、どちらかというとその活動を通して子どもたち自身が話し合いをするという点での影響が非常に大きかったなと思っています。言葉による伝え合いの部分ですね。

話し合いをしているときには「僕はこう思うんだけどあなたはどう思う」といった発言をする姿です。「1ヶ月半でここまで成長するんだと逆に驚かされました」というのが、担任の声です。嬉しい驚きというふうに考えております。

嬉しい効果とはウラハラに、導入の負担感は「あまりない」!

今度は、「実際みらい教室を導入するにあたってはどうだった?」と聞いてみました。

そうすると、我々がやりたい方法やテーマ課題など、「ここの10の姿をこういうふうにしていきたい」という考えを、みらい教室のコーチに伝えると、コーチの方から「こんな感じでやったらどうでしょうか」みたいな提案があって、非常に助かったと。なので、「導入する際の負担感はあんまりなかった」と担任からのフィードバックをもらっています。

また、良かった点として、上がってきたのが、このファシリテーションシートです。

「1回の1時間の進め方はこういうふうに話していきましょう」といった流れが書かれたものを、事前打ち合わせを通して作っていただくのですが、その中で「こういう言葉のかけ方とか、こういう角度で子どもたちにアプローチをするといいんだな」といったヒントになる内容があり、保育者自身の引き出しを増やすってこともできたのではないかと、担任が話しておりまして、「ぜひこれは続けてほしい」と言われております。

最後に、他の職員や保護者からのフィードバックとしてはこんなものがありました。

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◯職員からの評価

☑ 自分たちの行っている「子どもの興味関心」と「学習」という点において、体系的に見えるので分かりやすく、職員の指導教育面からも良いと感じる。

☑ 外部との接触などを含め、自分たちだけでは実現できない多様な体験を子どもに提供できる可能性を感じる。

◯保護者からの評価

☑ 子どもの意志を尊重するという点について、こうした視える化されたカリキュラムがあると、「なるほど」と感じることができる。

☑ 課題探究型学習というのは中学校以降の学習カリキュラムの領域でも最近耳にし始めているところがある。そこへの繋がりについて学習カリキュラムとして興味深い。

☑ 子どもが家でも「みらい教室楽しかった」と言っているので、今後も継続的にやって欲しい。

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今後について

今後取り組んでいきたいことですが、先ほどの折り紙のプロジェクトで、リサイクルリユースという言葉や考え方を学びましたが、今子どもたちの中でこれが若干ブームになっておりまして。

「リサイクルしたもので商品を作りたい」「お店をやりたい」という声が上がっているので、子どもたちのやりたいことを尊重して次のプロジェクトを進めていく予定です。

ただ、みらい教室はあくまで仕掛け・仕組みとして伴走していくのものだと私は考えていますので、それを元に来年度以降は「当社らしいって何だろう」をさらに追求していきたいと思っています。

「ルクミーみらい教室」は絶対的な正解ではないものの、各施設現場における非認知能力に対するアプローチの「体系化」「言語化」を、大きな負担なく支援をしてくれるものではないかと今回のプロジェクトを通して考えています。

他園さんでも、このような取組みにご興味があるようであれば、ぜひルクミーさんにご相談してみてはどうかなと思います。

我々も、これからしばらくお付き合いいただこうかと思っておりますので、何かあれば、ぜひルクミーさんに聞いていこうと思っています。

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