未来会議レポート
【子育て支援】「預ける後ろめたさ」を「安心」に変える ~「はじめの100ヶ月」と、こども誰でも通園制度時代の関わり方~
2026年02月17日

ルクミーが開催するオンラインセミナー「保育をどうしよう未来会議」では、毎年多くの保育関係者が明日の保育について語り合います。 今回は、「はじめの100ヶ月」をテーマに、玉川大学の大豆生田啓友先生と、社会福祉法人呉竹会の石田雅一先生をお招きしたセッションのレポートをお届けします。
妊娠期から就学前後までの大切な時期を、園と家庭、そして地域社会がどう支え合うべきか。「こども誰でも通園制度」も本格的にはじまる今、保護者を孤独にさせないためのコミュニケーションのヒントをご紹介します。
<登壇者のご紹介>
玉川大学 教育学部 教授 大豆生田 啓友 先生
青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻修了後、青山学院幼稚園教諭等を経て、現職。日本保育学会副会長、こども環境学会副会長、こども家庭庁「こども家庭審議会」委員および「幼児期までのこどもの育ち部会」委員(部会長)、「保育専門委員会」委員(委員長代理)、保育士養成課程等検討会委員(委員長)、文部科学省「今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会」委員、栃木県幼児教育センター顧問、よこはま☆保育・教育宣言運用協議会委員、NHK・Eテレ「すくすく子育て」出演、テレビ静岡「テレビ寺子屋」出演、等
社会福祉法人呉竹会 理事長 児玉の森こども園 園長 石田 雅一 先生
社会福祉法人呉竹会 理事長。埼玉県に「児玉の森こども園」をはじめに、東京都に「新宿こだま保育園」「駒沢こだま保育園」「三茶こだま保育園」をそれぞれ開園・運営。理念は「じりつ」と「協力」。自立した一人ひとりが自分の力を活かし、かつ自らを律し他者と協力しながら生きていく「社会を生きる力」を育てている。
保護者のウェルビーイングが、こどもの「幸福な記憶」をつくる
セッションの冒頭、大豆生田先生より提示されたキーワードは「はじめの100ヶ月」です。これは、赤ちゃんがお腹に宿ってから小学校に入学する頃までの期間を指します。
この100ヶ月の間に最も大切なのは、こども自身が「愛された」「楽しかった」という幸福な感覚(ウェルビーイング)をもつこと。
先生が例に挙げたのは名作絵本『ぐりとぐら』です。
大人たちに幼児期の記憶を尋ねると、あらすじよりも「カステラがおいしそうだった」「お父さんが読んでくれて嬉しかった」といった「感覚的な幸福の記憶」が残っていることが多いそう。
しかし、現代の子育て家庭は多くの不安を抱えています。 大豆生田先生は、ご自身の子育て経験の中で、準備が間に合わず仕方なくお子さんをパジャマのまま登園させた際、園の先生から「よく来たね。パジャマでOKよ。お父さんもよく頑張ったね」と声をかけられ、涙が出るほど救われたというエピソードを語られました。
親がひとりで抱え込まず、園や地域に頼り、親自身が笑顔でいられること(親のウェルビーイング)。それこそが、結果としてこどものウェルビーイングを守る土台となります。
保育者がまず保護者を丸ごと受け入れる姿勢が、支援の第一歩となるのです。
「こどもは群れの中で育つ」ことを伝え、「後ろめたさ」を払拭する
続いて登壇された石田先生からは、現場の実践に基づいた「こどもは群れ(集団)の中で育つ」という視点が語られました。
これから本格化する「こども誰でも通園制度」。利用する保護者の多くは、「自分の都合で預けていいのか」「こどもがかわいそうではないか」という後ろめたさを抱きがちです。
しかし、石田先生はこう語ります。
「お母さんと離れる瞬間に泣いてしまうのは、愛着関係がある証拠で健全なこと。でも、姿が見えなくなると案外ケロッとして、友達の遊びに刺激を受けて遊び始めるものです」。
家庭では経験できない「同年代の刺激」や「多様な人との関わり」が得られることは、こどもにとっても良いことです。園は、「大丈夫ですよ、ちゃんと育っていますよ」と保護者にこどもの育ちを伝えていくことも重要です。
園が「地域の灯台」となり、みんなで育てる社会へ
これからの時代、園は単に「児童を預かる場所」から、「地域の子育て支援を支える拠点(ハブ)」へと役割を広げていくことが求められます。
石田先生の園では、子育て支援センターやこども食堂を通じて、高校生や高齢者など地域の人々を巻き込んだ「共育(ともそだて)」を実践しています。 保護者が「助けて」と言える先を増やすことこそが、真の自立(ウェルビーイング)につながると大豆生田先生も強調されました。
人生の土台を作る「はじめの100ヶ月」を社会みんなで守るために。今こそ地域に開かれた子育て支援を始めてみませんか?
園が保護者と共にこどもの成長を喜び合うパートナーとなることで、保護者の育児に対する安心感が増し、子育てを前向きに楽しめる時間へと変わっていくはずです。
【実践】ICT活用は「保護者の安心」にもつながる
では、どのようにして保護者に「安心」を届ければよいのでしょうか。
ここからは、言葉だけでなく、ルクミーのICTを活用した具体的な実践方法をご紹介します。
【保護者コミュニケーション】
「一時保育」や「こども誰でも通園制度」をご利用の保護者にも、連絡帳機能での個別連絡や、おたより機能によるお知らせの送信などが可能になります。
ー「泣き別れ」の後のフォローに(個別連絡・連絡帳・おたより)
朝、保護者と離れる際に大泣きしてしまったお子さん。保護者が帰られた後、5分もすれば遊び始めることはよくあります。 そんな時、遊んでいる様子の写真を一枚撮り、ルクミーを通じて保護者へ共有することで、「お母さんがいない間、ずっと泣いていたわけではありませんよ。こんなに楽しんでいましたよ」という安心感を届けることができます。また、園での様子を知ることは、保護者が自身の育児を前向きに振り返る大切なきっかけにもなります。
【午睡時の見守り体制の強化】
ー 午睡チェック センサーでの見守り補助
衣服に取り付けたセンサーが体動を検知し、記録アプリが自動で「仰向け」「うつ伏せ」「横向き」を記録します。
また、うつ伏せ寝や体動静止状態が続いた場合には、アプリが音や画面表示ですぐにお知らせ。目視とセンサーのダブルチェック体制を構築することができます。
「園が安全管理を強化している」という姿勢は、保護者にとっても安心要素となります。
【その他に活用できる機能】
その他、以下のICT機能も一時的な利用の方にお使いいただくことが可能です。
ー 登園/降園時間の打刻管理
QRコード(※)などを使ってスムーズに登降園時間を記録できます。
ー 請求書発行
打刻実績に基づき、料金を計算し、請求書を発行できます。
おわりに
「こども誰でも通園制度」がはじまり、園と地域がより密接に関わる時代がやってきます。 ルクミーのICTをうまく活用することで、事務負担を減らしながら、保護者や地域とのつながりを深め、こどもたちの「はじめの100ヶ月」を支えるご支援ができればと考えています。
なお、ご好評につき、「保育をどうしよう未来会議」録画配信は2026年3月まで可能になっておりますので、ぜひこの機会にご覧ください。
未来会議のお申し込みはこちらから:https://info.lookmee.jp/miraikaigi/
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
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