スマート保育園・幼稚園・こども園
行事を「普段の保育を見てもらう機会」に。内容を決める先生方の試行錯誤とは
2022年02月15日
多くの園・施設が4月に作成している、来年度の年間保育計画。具体的にどのような考え方で行事を決めているのでしょうか。
今回、モデル園(※)の先生方に集まっていただき、行事内容の決め方についてお話をうかがいました。(2021年12月取材時点)
※「スマート保育園・幼稚園・こども園Ⓡ」の実現に向けて、園における課題の見える化を行い、ルクミーのサービスを活用して、(主に業務効率化のアプローチから)課題解決に取り組まれている園。
子どもたちの普段の姿を保護者に見てもらえるような行事へ
株式会社 StepUp 心育保育園 村本 先生
「どうやったら主体的に保育をできるか、を考えています」
行事とは本来、頑張る場所ではなく、日々の保育との連続性の中にあるものです。
そのため、子どもたちの普段の姿を保護者に見てもらえるような行事へと内容を変えています。
たとえば生活発表会では以前、劇を披露していたんです。
保育士は「劇のためにたくさんの衣装を作り、準備を頑張らなければならない」という思いを抱いていました。
その結果、普段の保育での子どもの姿を保護者に伝えたいと思っていたにもかかわらず、生活発表会に対する保護者の感想は「衣装が可愛かった」など、本来伝えたい部分から外れてしまっていました。
子どもたちも、振り付けを覚えさせなければならず、見ていて楽しそうではありません。
私たちはそこにジレンマを感じていました。
そこで、子どもたちの好きなことをさせようと考えたのです。
子どもたちの好きなものを担任に聞いたところ、「製作」とのこと。
そうして今年の生活発表会のテーマは「製作」になりました。
2歳は、はさみとのりを使った製作。
1〜2歳は、「作って遊ぼう」という活動を舞台で行い、保護者に見ていただく予定です。
舞台で固まって何もできなかった場合を考え、制作キットを保護者に持ち帰っていただく準備もしています。
※写真左は1~2歳児クラスの制作活動の風景、写真右は、3歳児以上のクラスの影遊びの様子
保護者への説明についても、今年は大きく内容を変更したため、丁寧に説明を行いました。
「今年の発表はこういう風に変える」と園だよりで発表したんです。
今では、行事後の保護者アンケートで衣装の感想を見ることはほとんどなくなりました。
子どもの1年前の成長、今の成長についての感想が増え、保護者に伝えたい部分が伝わったと感じています。
内容をシンプルにしているからこそ、見てもらいたい部分を見てもらえるようになったのではないでしょうか。
月齢ごとに子どもたちが特に集中する遊びを見極める
株式会社 StepUp 心育保育園 内藤 先生
「子どもの発達や興味とのすり合わせに、葛藤しながら頑張っています」
当園に在籍する子どもたちは0、1、2歳児です。
行事では、普段の生活の中でできることや好きなことの中から、子どもたちが特に集中する遊びを高月齢と低月齢とに分けて披露する予定です。
保護者の方には、ステージ上での職員とのやりとりや子ども同士の関わりも見ていただければと思っています。
好きな遊びや好きなものを置き、興味がなさそうなものを担任が省く。
年齢が低い分、この見極めが難しいなと感じています。
職員は「年齢に合ったものになっているか」「これで遊ぶためにはどうしたらいいか」と考え、子どもの興味とのすり合わせに葛藤しながら頑張っています。
何が正解なのかは、実際にやってみて子どもたちの反応を見るまでわかりません。
職員の会話から次なる壁が出てくることもあります。
まずは「失敗してもいいからやってみよう」という思いで取り組んでいるところです。
「日常の主体的な保育を見てもらいたい」という思いを大事に
社会福祉法人 聖光会 国立クムクム保育園 秋山 先生
「劇をする場合でも、覚える・やらせるのではなく子どもたちが主体的に参加できるよう、子どもたちに決めてもらっています」
当法人はキリスト教の園なので、12月は祝会を開催しています。
0歳児は日頃の生活を見せようと考え、舞台上でいないいないばあや手遊びなど大好きな絵本になぞらえた表現を。年長さんは、法人の伝統で降誕劇をすることになっています。
台本はある程度決まっているのですが、「覚えさせる」「やらせる」というスタンスではありません。
配役からセリフの表現方法まで、子ども同士で相談して子どもたちで決めていくのです。
担任が誘導せず、とことん話し合わせるよう意識しています。
「日常の主体的な保育を見てもらいたい」という思いを大事にしているので、準備の裏話や経緯をクラスだよりにも掲載。
クラスの中での生活の様子も保護者に理解していただき、祝会で披露しました。
とにかくトライ&エラー。
失敗しても、「だめだった」ではなく「次はどうしよう」と考えて進める。
そして「子どもたちの主体性を大事にするのであれば、先生たちもまずやってみよう」と、みんなで認め合いながら頑張っています。
※本インタビューは『スマート保育園・幼稚園・こども園通信』2022年度2月号からの抜粋です。『スマート保育園・幼稚園・こども園通信』はルクミーをご利用中の園・施設様向けに毎月発刊している刊行物です。バックナンバーは、ルクミーをご契約頂いた園・施設さま・ルクミー みらい保育スクールへご参加頂けた方のみが閲覧出来る「ルクミールーム」内にてご覧いただけます。
※Web版とPDF版で編集の都合上、一部内容が異なる場合があります。
※記載内容はインタビュー当時の内容です。