保育ドキュメンテーションの作り方
保育者必見!「上手」な写真じゃなくて良い!?「保育が伝わる写真」の撮り方5つのポイント
2023年07月24日
入園式、卒園式、誕生会やさまざまな行事……園では多くの写真を撮りますよね。さらに昨今の共働きが多い時代、家庭では見ることができない子どもの姿をより保護者に届けたい、という思いや、振り返りに使いたいという意図で、行事だけでなく日常の自然な姿を撮影することも多いかと思います。
そこでこの記事では、保育を伝える、子どもの姿を捉える写真の撮り方について、保護者アンケートや写真を保育に上手く取り入れている園さんのお話しをもとに解説していきたいと思います。
保護者は行事以外の普段の子どもの姿も求めている
まず、保育施設では以前から行われていることが多い写真販売の視点で、保護者からどんな写真が求められているか、について見てみましょう。
下記は保護者709人に「どんな写真が欲しいか?」についてアンケートをとってみた結果です。
「園イベントでの様子」が1番目で9割以上を占めますが、「外で遊んでいる様子」「園内で遊んでいる様子」「制作や歌などの活動している様子」も8割以上と、普段の園生活の写真も強く求められています。
また、「お友達と写っている写真」「自然な表情の写真」など、子ども1人で写っていたり、カメラを意識していたりする写真ではなく、園生活の一部を切り取ったような写真が望まれているようです。
カメラ目線の写真じゃなくても良い
普段の保育の様子を写真にたくさん撮って、保護者への共有を頻繁に行っている園さんは、下記のようにお話しくださいました。
当園では、行事の際に保護者へのプレゼントとして子どもの写真をお渡しする機会があります。新人の先生が、お渡しする写真を選ぶ際「カメラ目線の写真を選ばなくても良いか?」と質問されることがありました。写真撮影を「保護者サービス」と捉えている側面が強いため、カメラ目線のかわいい笑顔が良いのでは、と感じているからだと思います。
私は「保育としての写真なら、むしろ目線が合っていないほうが自然だと思うよ」と答えました。そういう写真があっても良いのですが、子ども自身が“おもしろい”と感じている「子ども視点の瞬間」を捉えるほうが、園での姿をそのまま伝えることができます。
(心育保育園 村本先生 スマート保育園・幼稚園・こども園通信2022年7月号より)
※スマート保育園・幼稚園・こども園通信はルクミーご利用園さま向け限定WEBサイト「ルクミールーム」で全文をご覧いただけます。
0歳児、1歳児の小さな子どもは、成長度合いが個々で異なります。そのため、ひとり遊びや成長が見える個人の写真が多くなる傾向があります。3歳児以降の大きい子だと、友だちとの関わりが見える写真が多くなりますね。子どもが「◯◯ちゃんとケンカした」と話したとしても、保護者は写真でお友だちとの関わり方を理解して、「仲が良すぎるからケンカするんですよね」と言われたりします。写真は嘘をつかないですよね。保護者の方には、写真を通して子どもの幸せな顔、保育園という社会で育つ姿をたくさん見てほしいと思っています。
(北柏駅前保育園わらび 小室先生 スマート保育園・幼稚園・こども園通信2022年7月号より)
※スマート保育園・幼稚園・こども園通信はルクミーご利用園さま向け限定WEBサイト「ルクミールーム」で全文をご覧いただけます。
『売るための写真』『記念写真』ということを念頭に置くと、カメラ目線の笑顔を撮ろうとしてしまいますが、実際は子どもが何かに集中している姿のほうが、保護者には喜んでもらえることが多いです。そのため、カメラを向いていない、遊びこんでいる様子を撮りたいなと思っています。「遊びこんでいる!ここすごい!」という瞬間ですね。
当園の先生方は、一人一台のカメラを常に携帯しており、「今だ!」というときにシャッターを押す習慣が身についています。ただ、そういう一瞬っていざやってみないとわからないことが多くて、やっているうちにだんだんと分かってくるものだとも思っています。
(認定こども園深志さん ルクミールーム掲載インタビューより)
※ルクミーご利用園さま向け限定WEBサイト「ルクミールーム」で全文をご覧いただけます。
先生だから撮れる子どもたちの姿
先生方は毎日子どもの傍にいらっしゃいます。
うれしいこと、美しいと感じたこと、忘れたくないこと……おそらくほとんどが子どもに関する事ではないでしょうか。
先生自身の心が動いた瞬間は、きっとその子にとってもとても大切な一瞬です。
それに気づけるのは保育者だからこそ。
子どもと共にいて、保育者として心が動き、記録に書き留めておきたいことを、ぜひ写真に収めてみてください。
ルクミーでは写真を使った振り返りを行うための、往還型ドキュメンテーション研修も実施しています。
まず保育の中における写真の重要性についてしっかり学びたいという方は、こういった研修に参加してみるのも良いかもしれません。
撮影は子どもの遊びの邪魔にならない機器で
日常の子どもたちの姿を撮りたい、と思っても、子どもが遊びに夢中になっている姿を撮ること自体に抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。
そんな時、スマートフォンなどの今の子どもが日常でも慣れている機器であれば、子どもの遊びを中断せずに撮ることができます。
「ルクミーフォト」はスマートフォン用の撮影アプリがあるので、こんな風に保育中に先生たちが写真を撮っています。
具体的な写真の撮り方のポイント5つ
1.選ぶのは後から。とにかくたくさん撮る。メモ代わりに撮る。
誰かに見せるための写真、ではなく、まずは保育中にその子の気になる一瞬があったらメモをとるつもりでシャッターを押してみてください。
始めはブレたり暗くなってしまったり、など「なんでこの写真撮ったんだっけ?」と自分でも思い出せない写真もあるかもしれません。
ですが、そういった失敗をたくさん重ねていくうちに、だんだんと撮りたい瞬間が分かってくるようになります。
2.状況がわかるように、まわりの景色を入れる
子どもたちが何をしている時の写真なのか、あえて周りの景色を一緒に撮る、という手もあります。
後でその写真を見返すと、撮っている瞬間には気づかなかった子どもの姿が見えてくることがあります。
また、写真を撮る機会が少ないと思いがちな乳児の場合でも、実は視線の先を一緒に捉えると、言葉には発していないその子の気持ちが見えてくることも。
園だから、先生だから読み取れるその子の姿をぜひ記録してみてください。
3.お友達を一緒に撮る、何かに夢中になっている姿を撮る
子どもたちは基本的に動いていることが多いと思います。そのため、なかなかカメラを構えようとしてもフレームに収められないこともありますよね。
そういう状況で撮ってもブレたり、ボケたりしてしまいます。
そういった時には、目の前の遊びに夢中になっている瞬間や、お友達と遊んでいるタイミングを狙ってみてください。
先生がカメラを向けていることにも気づかないぐらい、夢中になっている瞬間は、もしかしたら他の先生や親御さんさえ知らない一瞬かもしれません。
園・施設でのその子の「夢中」を記録して共有することで、ご家庭での会話の種にもなります。
また、お友達と一緒の姿を見ることで、連絡帳に書いたり子ども自身が話に出さないときにも、普段どんなお友達と一緒にいるかが写真一枚で伝わります。
4.子どもの目線までカメラを下げる(しゃがむ)
大人と子どもでは視点の高さが異なります。
大人が立ったまま写真を撮ろうとすると上からの写真になりがちなので、変化をつけたいときや、その子の目線の先を撮るためには、しゃがんで自分の視線を子どもと同じ高さまで下げてみてください。
(もちろん意図的に上からの構図を撮りたい、という場合は立ったままで撮って大丈夫です)
写真を撮るうちに、「この子は何を見ているんだろう?」と子どもを見る視点がさらに深くなっていくかもしれません。
5.なるべく明るいところで撮る
暗い所で撮ると、手元やこどもの視線の先に何があるのかがうまく撮れなかったりします。
そのため、屋外や室内でも窓が大きい明るいところで撮影すると、周りの様子もよくわかる写真を撮ることができます。
ルクミー みらい保育スクールの往還型ドキュメンテーション研修でも写真撮影のポイントを取り上げています
ルクミーではドキュメンテーションを実際に作っていく往還型研修も実施しております。
▼ルクミー みらい保育スクール 往還型「ドキュメンテーション活用」コース
https://lookmee.jp/mirasuku/
こちらの研修でも、写真を撮るコツについて講義内で紹介してくださっています。
現在、定員満員のため募集は終了しておりますが、ぜひ次回開催の際には参加ご検討ください。
撮った写真の整理と活用について
たくさん撮ったらあとから選ぶの大変そう……と心配な方へ
ルクミー撮影アプリでは、撮影の時にクラスを選んでからシャッターを押します。そのため、撮影した写真はクラスごとに自動で分けられて保存されるのです。
お散歩の際写真を撮って、園に帰ってきたらもう自動アップロードされているので、クラス分けの整理の時間はほとんどいりません。
暗くて何も映っていない、ブレている、など明らかに失敗した写真はすぐ削除もできます。
ルクミーなら撮った写真を販売、連絡帳やおたより、ドキュメンテーションなど使い道が広がる
▼「ルクミードキュメンテーション」のヒトコマ機能
(北柏駅前保育園わらび様の写真へコメントをつけた事例)
パッと見て、写真だけじゃ伝わらないことも、一言メモがあるだけで伝わることがぐっと増えます。
また、タグ付け機能やコメントで、後から写真の検索もしやすいので、年度末の制作の写真選びにも便利です。
簡単な写真メモとしての使い方も重宝しますよ。
写真にメモを残す(ドキュメンテーションの記録にする)ときのコツ
ルクミー みらい保育スクール 往還型「ドキュメンテーション活用」コース内のある講座において、写真ドキュメンテーションを作成する際のお悩みがいくつか寄せられました。そのお悩みに対しての、講師の川辺先生からのコメントをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
Q.写真に載せるコメントを考えることがとても難しく感じます。うまくコメントが書けるようになるコツはありますか?
A.「コメントを書く」というと何か説明をしなくちゃいけない気持ちになってしまうと思うので、まずは写真に「タイトルをつける」ということだけを意識してみてください。
タイトルをつけることで、「伝えたいことは何か?」を絞る習慣がついてきます。
次に、タイトルに慣れてきたら、そのタイトルについての説明を入れてみます。さらにそれにも慣れてきたら、「思い」を書いてみましょう。それが書けると、次の保育への発展が書けるようになります。
はじめから上手にやろうと思わなくていいです。やっていくうちに自分自身に力がついてくると思います。
例えば、特に特定のクラスに入ってないフリーの先生にオススメなのですが、何枚かその日の写真を撮っている中で、「これみんなに見せたい!」というイチオシの写真を(園長先生等の許可のもと)廊下などみんなが見える場所に貼ってみてください。
貼ってみて、子どもがそれを見たら何かコメントを入れるとよいでしょう。
→それを見て子どもが発言したことを吹き出しなどで付け足してみます。
→それを繰り返していくうちに、子どもと一緒にドキュメンテーションを作ることができるようになります。
私も実際にやってみましたが、保護者からの評判が非常に良かったです。
その時撮った写真は、誰一人顔が映らないものでした。後ろ姿、風景、手元など、顔ではない他のもので、「面白さ」を伝えられるようにしました。
そうすると「誰が」写真に写っているのか、ということよりも、この写真で「何が」起きているのか、が伝わるようになったのです。
あえてすべての保育の写真を公開するのも「保育の見える化」の一つの手段
また、保護者への保育の見える化の方法として、連絡帳に添付したりドキュメンテーションに活用する以外にも、写真販売の仕組みを利用して、保育の全てを公開する、という方法もあります。
ルクミーフォトでは、容量の制限なく写真を保護者に公開(販売)できます。
保護者は我が子の写真を事前に登録しておけば、AIが顔認証で自動でピックアップしてくれるので、時間がない保護者は我が子の写真選定をスムーズに、じっくり見たい保護者は全部の写真を通して、園の保育の様子を知ることができます。
最後に:なぜ保育施設で写真を撮るのか
これまでも、行事などの際にプロのカメラマンに園に来てもらい写真を撮って、保護者へ販売などを行っている園さんは多かったと思います。
さらに、コロナ禍において、なかなか園の様子を保護者にお伝えできなくなったことで、行事だけでなく、普段の様子を先生たちで撮って保護者に共有しよう、という動きも積極的になってきました。
ですがそもそも保育施設において、子どもたちの姿を写真で捉え、共有するというのは何のためなのでしょうか。
もちろん、子どもたちのためですよね。
例えば行事までに、その子がどんなお友達とどんな相談をして、どんな準備をして、何を思っていたのか。そういった姿を保育者はすぐそばで見ています。
できることなら、それを全て記録し保護者に伝えたいところですが、実際それを全てお伝えしようとするとすごく大変です。
だから写真を使って、それらを記録し、対話し、伝えるのですよね。
多くの写真を撮影し保護者に共有している、北柏駅前保育園わらびの戸巻先生は、保育における「写真」について、こんなことをお話しくださいました。
子ども自身の記憶があいまいで短いからこそ、周りの大人たちが、写真という記憶に残る記録を残し、子ども自身に伝えてあげたいと思っています。
保護者に共有するための良い写真、ではなく、保育の中での写真、としてぜひ先生の目線でいろいろな子どもの姿を撮ってみてください。
▼写真活用に便利なルクミーへのお問い合わせはこちら▼
https://lookmee.jp/lookmee_form.html